仕事人間の末路
彼にとって仕事と言うのは存在そのものだった。仕事で成功し周囲に認められ、上司に認められるという事は彼にとって生きていることの全てなのだ。
いつも仕事の事でいっぱいいっぱいの彼のプレイはいつも酷い。肉体的にも精神的にも徹底的に追い込まれないと”頑張った”と言う事が認識できないのだ。
●で血だらけになろうとも、痕が残るぐらい鞭で打たれようと、黄金を無理やり食べさせられようと、精神的に酷い事をされようが最後の
「よく頑張ったね~。褒めてあげる。」
と言う女王様の言葉が聞けるならなんでも耐えられるのだ。
日本では年間3万人を超える人が自殺をしている。その中では病気や生活苦を理由にしての者もいるだろうが、中には、仕事での失敗を苦に自殺する人もいるだろう。
彼にとって仕事というものは己の主義思想を貫くモノだった。そんな大事なモノを失い、生き恥を晒すぐらいなら死を選ぶ、そんな人だ。
仕事で成功する・上司に認められることを生きがいとしている人は本来、真面目人間が多い。
そう言う人は幼少の頃から親や教師の期待に応え、褒められる事で自分の居場所を確認している。
真面目だからこそ真摯に仕事に打ち込み、プライベートな時間の全てを仕事に費やす。
不器用だから気を抜くことが出来ない。こう言う人はONとOFFの切り替えが出来ないのだろう。日本人に多い性質である。
プライベートの時間もいつも仕事モード。気が休まらない。
三島由紀夫は己の思想を貫くため自害し、華麗な最後を遂げた。
三島由紀夫は元々切腹プレイを好み、若い頃切腹ごっこをして遊んでいたと言われている。
切腹というのは究極の被虐行為とも言える。
マゾヒスティックな性向を持つ人間は、その行為を真似ることで性的快感が得られる。
「三島由紀夫は究極のマゾなのです。だから僕は、常に余裕が無い追い詰められたマゾヒスティックな彼の感情を再現しているのです。」
以前、頻繁に彼が零していた言葉。
三島由紀夫は隠れ同性愛者、サディスティックとマゾヒスティックが共存していた人物だと言われている。
世間に隠れ、マゾヒスティックな欲望を満たす彼にとっては三島由紀夫には何か通じるもの感じていたのかもしれない。
ある日の彼。
「女王様ありがとうございました。僕仕事辞めます。だからもう会いに来れません」
「今までありがとうございました。でも僕が本当に認められたかったのは女王様ではないんです。」
「でもありがとうございました。」
その後、彼が店に来たことはない。私も店を変わり引越ししたので彼の消息は分からない。
でも、私の中で彼は死んだのだと思っている。あんなに真面目で仕事人間。そして人一倍にプライドが高く、完璧主義者でドマゾの彼が生き恥をーー彼自身が仕事の出来ない男は恥だと呪詛のように唱えていたからーー晒すはずがない。
なので私は勝手に彼の命日を決めました。
彼は死んだのです。仕事と言うくだらない事の為に。
これが仕事人間の末路。
客観的に聞くとなんと滑稽で馬鹿げた話でしょう。たった仕事で。お金を稼ぐ方法なんて他にも沢山あっただろうに。
でも違うのです。彼にとって主義思想を主張出来る仕事こそが人生そのものだったのです。その人生に失敗したのなら、死を選んでも良いのです。
本来完璧主義者のはずの彼はいつもヨレヨレです。部屋もおそらく汚いのでしょう。
でもそれは余裕が無いのです。全ての時間を仕事に費やしているから。
不器用だからONーOFFの切り替えができず、無駄に時間を浪費してしまうのです。
きちんとできない状況に完璧主義者の彼は腹立ちさを感じ、常に余裕がありません。
いいえ、本当は分かっているのです。
「わざと自分をギリギリの所に追い込んでいるという事を」
だってマゾだから。
スマートに綺麗に勝ちたくないのです。ボロボロのぐちゃぐちゃの泥水だらけになりながらも這いつくばって勝ち取りたいのです。そうでなければ達成感が無いから。
すんなり手に入ったものには価値が見い出せないから。だからワザと追い込むのです。
しかし張り詰めた風船が弾けるように突然限界が来るのです。
でもマゾの彼にとって本当はどちらに転んでも良いのです。失敗して自決しても。三島由紀夫と同じく自決こそが究極のマゾヒズムだと悟ってしまっているから。
0か100の人に多い傾向。
自分の思想に殉じる事が出来るのであれば、自害しようと良いのです。
彼にとって仕事を苦に自害すると言う状況でも性的快楽(エクスタシー)を得られるから、自害は決して逃げではなく美徳なのだ。快楽なのだ。
成功すれば昇進、失敗すれば辞職。
ギリギリの状況でしか生を実感できない。仕事での失敗は死を意味する。
毎年、自殺ではなく「自害」をしている人間がいる。
そして毎日色んなSM倶楽部で
「よく頑張ったね~。エライエライ」
と女王様が言っている。
しかし彼らの現実の問題は何も片付いていない。
虚構の世界だけで自分の存在を認められている。(承認欲求)
でも唯一私たちが彼らに出来ることは
「よく頑張ったね~。ほら褒めてあげる・・・。」
この一言だけ。
この紛い物のご褒美だけで、一体どれだけの命が救えるのだろうか。
右京
いつも仕事の事でいっぱいいっぱいの彼のプレイはいつも酷い。肉体的にも精神的にも徹底的に追い込まれないと”頑張った”と言う事が認識できないのだ。
●で血だらけになろうとも、痕が残るぐらい鞭で打たれようと、黄金を無理やり食べさせられようと、精神的に酷い事をされようが最後の
「よく頑張ったね~。褒めてあげる。」
と言う女王様の言葉が聞けるならなんでも耐えられるのだ。
日本では年間3万人を超える人が自殺をしている。その中では病気や生活苦を理由にしての者もいるだろうが、中には、仕事での失敗を苦に自殺する人もいるだろう。
彼にとって仕事というものは己の主義思想を貫くモノだった。そんな大事なモノを失い、生き恥を晒すぐらいなら死を選ぶ、そんな人だ。
仕事で成功する・上司に認められることを生きがいとしている人は本来、真面目人間が多い。
そう言う人は幼少の頃から親や教師の期待に応え、褒められる事で自分の居場所を確認している。
真面目だからこそ真摯に仕事に打ち込み、プライベートな時間の全てを仕事に費やす。
不器用だから気を抜くことが出来ない。こう言う人はONとOFFの切り替えが出来ないのだろう。日本人に多い性質である。
プライベートの時間もいつも仕事モード。気が休まらない。
三島由紀夫は己の思想を貫くため自害し、華麗な最後を遂げた。
三島由紀夫は元々切腹プレイを好み、若い頃切腹ごっこをして遊んでいたと言われている。
切腹というのは究極の被虐行為とも言える。
マゾヒスティックな性向を持つ人間は、その行為を真似ることで性的快感が得られる。
「三島由紀夫は究極のマゾなのです。だから僕は、常に余裕が無い追い詰められたマゾヒスティックな彼の感情を再現しているのです。」
以前、頻繁に彼が零していた言葉。
三島由紀夫は隠れ同性愛者、サディスティックとマゾヒスティックが共存していた人物だと言われている。
世間に隠れ、マゾヒスティックな欲望を満たす彼にとっては三島由紀夫には何か通じるもの感じていたのかもしれない。
ある日の彼。
「女王様ありがとうございました。僕仕事辞めます。だからもう会いに来れません」
「今までありがとうございました。でも僕が本当に認められたかったのは女王様ではないんです。」
「でもありがとうございました。」
その後、彼が店に来たことはない。私も店を変わり引越ししたので彼の消息は分からない。
でも、私の中で彼は死んだのだと思っている。あんなに真面目で仕事人間。そして人一倍にプライドが高く、完璧主義者でドマゾの彼が生き恥をーー彼自身が仕事の出来ない男は恥だと呪詛のように唱えていたからーー晒すはずがない。
なので私は勝手に彼の命日を決めました。
彼は死んだのです。仕事と言うくだらない事の為に。
これが仕事人間の末路。
客観的に聞くとなんと滑稽で馬鹿げた話でしょう。たった仕事で。お金を稼ぐ方法なんて他にも沢山あっただろうに。
でも違うのです。彼にとって主義思想を主張出来る仕事こそが人生そのものだったのです。その人生に失敗したのなら、死を選んでも良いのです。
本来完璧主義者のはずの彼はいつもヨレヨレです。部屋もおそらく汚いのでしょう。
でもそれは余裕が無いのです。全ての時間を仕事に費やしているから。
不器用だからONーOFFの切り替えができず、無駄に時間を浪費してしまうのです。
きちんとできない状況に完璧主義者の彼は腹立ちさを感じ、常に余裕がありません。
いいえ、本当は分かっているのです。
「わざと自分をギリギリの所に追い込んでいるという事を」
だってマゾだから。
スマートに綺麗に勝ちたくないのです。ボロボロのぐちゃぐちゃの泥水だらけになりながらも這いつくばって勝ち取りたいのです。そうでなければ達成感が無いから。
すんなり手に入ったものには価値が見い出せないから。だからワザと追い込むのです。
しかし張り詰めた風船が弾けるように突然限界が来るのです。
でもマゾの彼にとって本当はどちらに転んでも良いのです。失敗して自決しても。三島由紀夫と同じく自決こそが究極のマゾヒズムだと悟ってしまっているから。
0か100の人に多い傾向。
自分の思想に殉じる事が出来るのであれば、自害しようと良いのです。
彼にとって仕事を苦に自害すると言う状況でも性的快楽(エクスタシー)を得られるから、自害は決して逃げではなく美徳なのだ。快楽なのだ。
成功すれば昇進、失敗すれば辞職。
ギリギリの状況でしか生を実感できない。仕事での失敗は死を意味する。
毎年、自殺ではなく「自害」をしている人間がいる。
そして毎日色んなSM倶楽部で
「よく頑張ったね~。エライエライ」
と女王様が言っている。
しかし彼らの現実の問題は何も片付いていない。
虚構の世界だけで自分の存在を認められている。(承認欲求)
でも唯一私たちが彼らに出来ることは
「よく頑張ったね~。ほら褒めてあげる・・・。」
この一言だけ。
この紛い物のご褒美だけで、一体どれだけの命が救えるのだろうか。
右京
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